読むYOGA ヨーガ・スートラ①


ヨーガ・スートラとは、聖者パタンジャリが完成したと言われている経典です。

この成立時期は紀元前5000年から紀元後300年頃と言われ、彼は既に存在していた思想と行法を系統づけ、それらを編纂したのですが、パタンジャリは「ヨーガの父」とみなされ、様々なタイプの瞑想とヨーガすべての土台になっています。


この中で彼は、誰もが八つの諸段階(八支則)を実践していくにつれ、英知の光が輝きを増し、最後は弁別智が現れると言います。

八支則とは以下のものです。


1. ヤマ(禁戒)

① 非暴力(アヒンサー)

身・口・意において暴力をふるわないこと。

② 正直(サティア)

考えや発言、行動が常に誠実であること。

③ 不盗(アスティヤ)

貪欲にならない、嫉妬しないこと。

④ 禁欲(ブラフマチャリヤ)

性的エネルギーをコントロールすること。

⑤ 不貪(アパリグラハ)

物に執着しないこと。


2. ニヤマ(勧戒)

① 清浄(シャウチャ)

外面、内面における清潔さを保つこと。思考や食べる物も清らかであること。

② 知足(サントーシャ)

与えられた環境・現状を受け入れ、肯定の姿勢から物事に対処すること。

③ 苦行(タパス)

自らを研鑽し、鼓舞すること。困難に直面し解決する勇気を持つこと。

④ 読誦(スヴァディアーヤ)

聖典の学習を怠らないこと。

⑤ 自在神への祈念(イーシュワラ・プラニダーナ)

神(至高の力)を自分の周りの至るところに見出し、自分の内部にも見出すこと。

自我の放棄。


3. アーサナ(体位法)

快適で安定感のある姿勢を築く。

4. プラーナーヤーマ(調気法)

呼吸法を用いて肉体、感情、思考を整える。

5. プラティヤハーラ(制感)

感覚器官を身体の内側の対象物へ働くようにさせる。

6. ダーラナー(集中)

心を動かないように訓練する。

7. ディヤーナ(瞑想)

安定したダーラナー(集中)の状態。

8. サマーディ(三昧)

ヨガのゴールとされる。「瞑想している」という意識を超越して、集中している自分と集中の対象が、すべてひとつに溶け合った状態。


パタンジャリは、まず、はじめの2つ、ヤマ・二ヤマを実践することを勧めます。私が受講したティーチャートレーニングコースでも、ヤマ・ニヤマを日々実践しレポートを書くことからコースが始まりました。


ヤマ・二ヤマが道徳と似ていて異なるのは、これらを実践する動機が違います。

すべては自分自身の平安のため。


周囲への思いやりや愛情が豊かであった方が、自分へのこだわりが少なくなって、自分がラクだから勧められていることなのです。

動くヨガ、ハタヨガと一見無関係に思えるヤマ・二ヤマですが、実は深い関係があります。


心が穏やかになると、技術的に難しいポーズも、柔軟性を必要とするポーズもラクに出来るようになります。


実習には段階的に8つに順序がついていますが、集中や瞑想を試みるために完璧になるまで待つ必要はありません。実際には、すべての段階が関与しあっているので、複合的に、毎日少しずつ!取り組むことをお勧めします。


3以降の説明は次回にします。

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